こんにちは、「Nihongoいちにのさん」です。
このブログでは、日本語学習者や日本語教師の方に向けて、日本語の文法などを説明しています。
今日は「もらう」と「くれる」の使い分けについて考察をしたものです。
「あげる」と「くれる」に関しては「行為者」と「受け手」が話し手にとってウチかソトが関係してきますが、
「もらう」と「くれる」に関しては主語(主格)が「行為者」か「受け手」かでどちらを使うかが決まります。
疑問点として、状況によってはどちらでも良さそうな場合や、どちらでも良さそうでいてどちらか一方が不自然な場合があります。
その点について考えたいと思います。
※「考察」部分は筆者の主観が含まれるので、ご注意ください。
何かご意見があればコメントで教えていただけますとありがたいです。
「もらう」と「くれる」
もらう
Xが Yに Zを もらう
X:受け手
Y:行為者
Z:物(補助動詞の場合は「行為」)
くれる
Xが Yに Zを くれる
X:受け手
Y:行為者
Z:物(補助動詞の場合は「行為」)
例1 物をもらう/くれる
A:山田さんにお菓子をもらった。
B:山田さんがお菓子をくれた。
場面1:
話し手「(山田さんのお菓子を指して)このお菓子、ひとつ食べていい?」
山田「いいよ」
話し手「ありがとう」
この状況を説明するのにAとBどちらがふさわしいか。
考察・・・Aを使う気がする。話し手が働きかけた結果、物の授受が行われている。話し手が主体となって行為が行われているため、主語として受け手をとるAの方が自然か。
場面2:
山田「ちょっと旅行に行ってきた。はい、お土産のチョコ」
話し手「ありがとう」
この状況を説明するのにAとBどちらがふさわしいか。
考察・・・AとBでどちらも使えると考える。場面1では自ら頼んでおり、場面2では話し手が依頼したわけではない。
「もらう」「くれる」の使い分けに関係があるのか。
例2 人をもらう/くれる
A:(嫁/妻に)娘さんをいただく/もらう
B:(嫁/妻に)娘さんをくださる/くれる
B':(嫁/妻に)娘さんをください
考察・・・Zの部分に「物」ではなく「人」が来る場合もあるが、「人」を「物」として扱っているだけだろうか?
AとBの話し手と受け手は「夫になる人物」か「その家族」になり、行為者は「娘の親」に当たる人物になる。
Aを使用する文脈を考えてみる。
場面1:
結婚の両家顔合わせで「大切な娘さんをいただくからには、必ず幸せにいたします」と述べる。
場面2:
夫の親が「大切な娘さんをいただくのだから、相手のご両親にきちんと挨拶をしなさい」と子に説教する。
BはAと同じ文脈で使用できるだろうか。
場面1:
結婚の両家顔合わせで「⁇大切な娘さんをくださるからには、必ず幸せにいたします」と述べる。
場面2:
夫の親が「大切な娘さんをくださるのだから、相手のご両親にきちんと挨拶をしなさい」と子に説教する。
考察・・・場面2では従属節と主節の主語が変わっても問題ないが、場面1では不自然になる。接続助詞などの文法的な制約ではないので、文脈が影響していると考えられる。
場面1では夫の今後の決意を述べる場合で、話し手の意志が主節だけでなく従属節部分にも感じられる方が自然なのではないだろうか。
Bを使用する文脈を考えてみる。
場面3:
相手の家に結婚の挨拶に行ったあと、夫が自身の家族に「お義母さんは、女手ひとつで育てた娘さんをくれるとおっしゃった」と結果を述べる。
考察・・・場面3は行為者である「相手の母親」について述べるので、主語に行為者を立てて「くれる」を使用するのが自然。
B'については「くれる」を用いて依頼をする文章である。
考察・・・聞き手に依頼をし、聞き手に行為者になることを要求するので「くれる」を使用することになる。
例3 ~もらいたい
A:誕生日には豪華なバラのブーケをもらいたい/*くれたい。
B:このプロジェクトはぜひ鈴木さんに担当してもらいたい/*担当してくれたい。
考察・・・「~たい」は他者の願望を表すのに使用できないため、話し手が主語になれない「くれる」には接続しない。
Bの補助動詞でも同様。
例4 ~てもらえない/~てくれない
「共働きであるのに家事をしない夫を非難する場合」
A:共働きなのに夫に家事をしてもらえない。
考察・・・頼んだがしない場合は全く使えないわけでもなさそうだが、「夫」について述べる場合は「くれる」の方が自然。
主語が「受け手」になるので「行為者」を非難するよりは、「受け手」である話し手の状態を述べる文脈にふさわしい。
B:共働きなのに夫は家事をしてくれない。
考察・・・頼む頼まないにかかわらず可
全体のまとめ
例1~4を通して話し手が積極的に「受け手」になることを望む文脈では、「受け手」を主語にして「もらう」を使用することが適していると言えそうではある。
今回は自身の内省による考察のため、今後は文献に当たっていきたい。